マンガ学 / スコット・マクラウド

【1章 〜まず定義から始めよう〜】 映像が時間的であることに対して、マンガは空間的である。 【2章 〜マンガの記号論〜】 抽象度が上がるにつれて(デフォルメ)記号への能動性を要する(仮面効果)。 抽象化には2つの方向があって、それは言語(意味性…

闘争領域の拡大 ミシェル・ウエルベック 訳/中村佳子

フランス人作家ミシェル・ウエルベックの94年に発表された処女小説。 とくに筋というものはなく、3章仕立てで細かく節に分かれている。それなりの収入はあるが友人も恋人もいない会社勤めのプログラマーである僕が観察者として、周囲の人物や現代社会、そ…

井戸の茶碗

栗原東随舎『思い出草子』に収録の人情話。井戸茶碗は高麗茶碗の一種。 登場人物 清兵衛 ー 屑屋 千代田卜斎 ー 裏長屋に住む浪人 高木佐太夫 ー 細川家の家来 あらすじ 200文で仏像を買って欲しいと卜斎に頼まれた清兵衛は、目利きが効かないからと1度は断…

青い花 / 吉行淳之介  (1959) 

麻田は家に篭って小説を書いている。麻田が半年ぶりに外出した日の夜に、彼の妻は大量の睡眠薬を飲む。彼は医者を呼ばずに対処して、なんとか妻を寝かしつける。次の日の夕方になっても、もがき苦しむ妻を残して、彼は汽車にのって街を離れる。 翌日、麻田は…

ある訪問

女はうとうとしている。傍らに立派な豹がいる、軽くひと跳ね、ベットに飛びのり彼女の匂いをかいだ。それからしばらくして、、月の光に照らし出されていたのは、深く眠っているように見える豹だった。彼は魅力的だ。匂いも模様も。 猛暑であったから彼女は窓…

人類滅亡後のはるか未来。もういない主人の命令に従って、住みよい地球を維持するロボット達。なかでも北半球のリーダーを任されているフロストは変わり者で、趣味として人間に興味を抱いていた。そんな彼は、人類が残した<人間の図書館>と出会ったことで…

幽霊

北杜夫の処女長篇。27〜28年にかけ「文芸首都」に分載、昭和29年に自費出版された。 第1章 少年のぼくは、母の部屋が好きだった。部屋には、日本間には似つかない彫刻をほどこした木縁の大きな鏡があった。母は鏡の機嫌をとるかのように入念に部屋のなかを洋…

狼の一族

ジェフを探して I'm Looking for Jeff ー 幽霊女の復讐譚・酒場

幽霊になるために

1.清潔さを保つこと

日本列島が失われたはるか未来。海の100%と陸の99%が失われ、世界の人口は1千万くらいになった。地表はいくらかの小さな陸地を除けば、灰洋(うみ)と呼ばれる、そば粉を説いたような灰色の重さのある流体に覆われている。その流体に触れた物質は一瞬で極…

しあわせの理由

12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくは四六時中、しあわせな気分でいるようになった。その原因は、脳に出来た腫瘍をによる、ロイエンケファリンという一種のエンドルフィンの過剰分泌によるものだった。難病であったが治療はうまくいき、腫瘍はすみやかに小…

フィルクスの陶匠

星務省のトーム人事部長にインタビューをしていた記者のケセルスキーは、デスクに飾ってある輝かしい黄色の大鉢に目を奪われ賛辞を漏らす。仕事が終わり帰ろうとしたケセルスキーは、トームから昼食に誘われる。そこで彼から美しい大鉢についての昔話を聞か…

プリマ・ベラドンナ

大休止と呼ばれる時代、世界は沈滞と倦怠とそして夏の盛りがつづいていた。アパートの一階で歌う草花店を経営するスティーヴは、労働の必要がない時代にあっても毎朝2時間ほどは働いていた。暑く気だるいある日、友人2人から君に美しいものを見せてやるから…

たんぽぽ殺し

黒づくめの男ミヒャエル・フィッシャーはお尻を右に左に揺らしながら、フィヒテン通りを歩いていた。いち、にい、さんと歩を数えながら。右手に持った細い散歩用の杖は道端の草花のうえで揺れて弾み、花を愛でた。 太った紳士が呑気に道を歩んでいると、杖が…

床の水たまり

グレッグの母ペトローニャは、子供部屋で2つのちがった笑い声がするのを聞きつける。こんどこそつかまえるぞ!ドアを開けて中を覗くと、部屋には息子と、これまでに何度もとり逃がした、あの汚らしいコソコソとした男の子が見えた。そんな時に限って電話が…

処女の季節

いまだかつてないすばらしい春(ここ数十年で最も寒くはあるが)は、いまだかつてないほどに女たちが美しい季節であった。個人も会社も国家も記録破りの件数が破産していたし、エイリアンが着陸して人類の半分を廃れさせ、残りは召使いにすると声明を発した…

ランゲルハンス島沖を漂流中

ロレンス・タルボットはねっとりしたシーツの子宮からそろそろとはいだす。新聞の大見出しには、ボリビア大使、暗殺死体で発見の記事。部屋の水槽には、タンクにいた仲間を皆殺しにした怪魚がいる。餌を与えずに殺すということをのぞけば、あらゆる無茶な扱…

「悔い改めよ、ハーレクィン!とチクタクマンはいった」

これは何の話なのか? 「大多数の人々はこのように、人であることを二の次に、むしろ機械として・・・・・・」 『市民としての反抗』H・D・ソーロー 骨子はこれにつきる。 この社会では彼(ハーレクィン)ほど、くっきり目立つ個人はない。中流社会では、これは恥…

鞭打たれた犬たちのうめき

ベスは、ビルの中庭で一人の女がゆっくりとむごたらしく刺し殺されるのを見た。悲鳴をあげたかったが、喉は凍りついていた。そして中庭の遥か上空の、2つの巨大な目に気づく。あれは顔なのか・・・・・・圧倒的に邪悪な何者かが、下方の花壇で起こっている出来事…