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「悔い改めよ、ハーレクィン!とチクタクマンはいった」

 

 これは何の話なのか?

 

「大多数の人々はこのように、人であることを二の次に、むしろ機械として・・・・・・」

                     『市民としての反抗』H・D・ソーロー

 骨子はこれにつきる。

 

 この社会では彼(ハーレクィン)ほど、くっきり目立つ個人はない。中流社会では、これは恥ずべきこととされた。聖者や罪人、英雄や悪漢を必要としているはるか下の階層では、彼はボリバル、ナポレオン、ロビンフット、キリスト等々にたとえられた。そして最上部ーーどんな小さな振動も旗竿からの転落な前兆とみなす、富と権力と肩書きを持つものたちーーからは異端者、反逆者、危険人物と考えられた。

 そんな彼は、時の権力者チクタクマンーー仮面姿の長身、寡黙で物事が時間通りに動いてる時には低い唸り声だけの男ーーに目をつけられる。

 渦中の彼は、100年も前に製造が終了してはずのゼリービーンズ15万ドル分を、空から工場の労働者に向かってばらまいていた。労働者たちは叫び、笑い、豪雨の中で列を崩した。それは全く狂気じみた、楽しい休日といえた。

 しかし、そのことで組織に7分の遅れが生じた。時の経過を司る神への信仰が推進力となっている社会では、それは大きな被害となってしまう。彼はチクタクマンの前へ出頭を命ぜられた。

 それでも彼は時間を混乱させるために精進するが、とうとうチクタクマンに捕まってしまい、そして矯正院へと送られる。

 長年にわたり『1984年』でスミスが受けた方法そっくりで叩き直された彼は、公共放送で自分が間違っていたと公言する。人々はそんな彼にがっかりした。

 ある日、チクタクマンは時間に3分遅れてきたことを、部下に恐る恐る指摘される。

「ばかな!お前の時間を調べてみろ」

 チクタクマンはそう言ってオフィスに入った。ウィーン、ウィーンと唸りをあげながら。