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フィルクスの陶匠

 

 星務省のトーム人事部長にインタビューをしていた記者のケセルスキーは、デスクに飾ってある輝かしい黄色の大鉢に目を奪われ賛辞を漏らす。仕事が終わり帰ろうとしたケセルスキーは、トームから昼食に誘われる。そこで彼から美しい大鉢についての昔話を聞かされる。

 若き日のトームはフィルクスという星へ転任することになった。そこは以前に勤めていた荒涼とした惑星とは違い、気候は温暖で暮らしやすく、先住民のトゥーンは優美な民族で豊かな文化を育んでいて、現地オフィスもおとぎ話から抜け出てきたような里だった。フィルクスでは金属をあまり産しないため、多くの道具や日用品は陶磁器で代用されていた。

 トームはここがすっかり気に入ってしまった。ただし、始末におけない悪癖の持ち主である上司のコーヴィルを除いて。コーヴィルの役目は、外交官よりも技術指導員の側面が強かった。バランスのとれた文化には介入しないのが当局の方針であったが、コーヴィルの仕事ぶりは無思慮なうえ怠惰であった。

 防疫管理の仕事で巡回していたトームは、里のはずれにある陶器屋で、いままでに見たことがない多種多様の美しい陶器が並んでいるのに心を奪われる。これを作った陶工に興味がわいたトームは、店番の可憐な少女にそのことをたずねてみると、この星の陶器に関する異様な文化を知る。

 山奥には陶匠の一族が住んでいて、彼らは人骨を陶芸の材料にしていた。そして材料が足りなくなるとトゥーンをさらっていた。トームはこのことをコーヴィルに報告し、さっそく2人は山へ行き彼らに警告した。陶匠たちは納得したかに見えたが、人さらいをやめることはなかった。

 このことに激怒したコーヴィルは、彼らが陶芸に使用する火山を原子爆弾で吹き飛ばすようトームに命じた。陶匠たちの行動は因習にとらわれているだけで悪意はないと考えたトームは別の解決方法を探る。そしてトームはもう2度とトゥーンを誘拐しないことを条件に、彼らが長年求めてきた輝かしい黄色の釉薬の作り方を伝える。

 トームはオフィスに帰り、問題が解決したことを上司に伝えた。黄色の釉薬ウランが使われたことを知ったコーヴィルは、それを取り戻すために一人で山に向かう。

 

 

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