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しあわせの理由

 

12歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくは四六時中、しあわせな気分でいるようになった。その原因は、脳に出来た腫瘍をによる、ロイエンケファリンという一種のエンドルフィンの過剰分泌によるものだった。難病であったが治療はうまくいき、腫瘍はすみやかに小さくなった。ぼくのしあわせな気持ちとともに。

 

30歳になったぼくは、最低賃金と同額の保険をもらい、憂鬱な日々をおくっていた。少年時代の手術によって、ロイエンケファリンの分泌が止まってしまったため、しあせな気分になることはできなかった。そんなある日、新しい治療法の誘いをうけたぼくはケープタウンへ行く。手術は無事に成功した。ぼくには、4千人分のデータから作られた義神経が移植された。そして手術後のぼくは過剰に感動的になってしまう。あらゆる物事に感動してしまうぼくは、自分を見失い不安になる。そんなぼくに、医者は感情を数値化し、個別にコントロールできる技を指南する。

 

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