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日本列島が失われたはるか未来。海の100%と陸の99%が失われ、世界の人口は1千万くらいになった。地表はいくらかの小さな陸地を除けば、灰洋(うみ)と呼ばれる、そば粉を説いたような灰色の重さのある流体に覆われている。その流体に触れた物質は一瞬で極微に分解され流体の一部となる。では、なぜ陸地は灰洋に飲み込まれないのか。小さな陸地のひとつであり、この物語の舞台である泡洲ではこう教えられている。

熱したフライパンに水滴を落とすと、水滴の下に薄い蒸気の層ができフライパンの熱を遮断し鉄板に浮かんでいられる(ライデンフロスト現象)。それに似て陸地と灰洋の間にも激しい拮抗があり、それは振動し、霧を発生させる。そして、その霧が緩衝材の役目を果たしている。

 

登場人物

志津子  若妻。バス会社の事務員。

和志   志津子の夫。音を使って、霧から物を取り出す仕事をしている。

花枝   志津子の先輩。通勤時のもらいタバコが日課。

大溢   和志の上司。

昭吾   志津子の元夫。灰洋に飲み込まれて死去。和志の先輩でもありDV夫。