青い花 / 吉行淳之介  (1959) 

 

 麻田は家に篭って小説を書いている。麻田が半年ぶりに外出した日の夜に、彼の妻は大量の睡眠薬を飲む。彼は医者を呼ばずに対処して、なんとか妻を寝かしつける。次の日の夕方になっても、もがき苦しむ妻を残して、彼は汽車にのって街を離れる。

 翌日、麻田は少年時代に夏休みを過ごした高原に登る。そこで思い出の少女に再会する。女は15年前に自殺騒動をおこした。その原因となった男と、今は一緒に暮らしていた。彼は旦那の勧めで家に泊めてもらうことになるが、夫婦が寝付いたあと、巨大な男が出現する、という幻覚に襲われる。気がついてみると、外は明るく、山の麓にある旅館の布団の中にいた。

 彼が帰宅すると妻の軀は消えていた。密閉された家でじっと3日間を過ごしたあと、庭に出てみると、堅く踏みかためられた土から茎を伸ばし、その突端に1輪の水色の大きな花が咲いていた。

 

時系列

高原(過去)→妻の自殺未遂→街を離れる→高原(現在)→旅館→帰宅

 

物語の順列

街を離れるA→妻の自殺未遂→街を離れるB→旅館A→高原(過去)→高原(現在)→旅館B→帰宅

 

 色彩

くろく這いつくばって、きいろく洩れていた、赤い尾灯、臙脂の塗り色、赤い舌の先、白い皮膚、赤や青のスレート葺、赤い土、青い酸味のある固さ、黒い海水着、白く水しぶきがあがり、黒い水着、赤い色に染まる、赤や青の屋根瓦、赤い芽、赤錆びた庖丁、赤く錆びたその杓子、青いスレート瓦、、白茶けた瓦、白く肥った男の顔、2つの白い顔、白く浮腫んだ、真紅に染まって、赤い色のなかに、灰色の夜、人間の形をした白いもの、白い咽喉の筋肉、白い影、樺色につるつる光って、原色の赤と青、黒い洞窟、赤と青の血管、白と黒の色、水色の大きな花、 暗い黒い眼

 

 

花弁の内側の小さな洞穴ー巨大な男の刳られた腹部にある黒い洞窟

妻の自殺未遂ー少女の自殺未遂 

都市ー自然

明るい光ー夕焼け